スポーツ、メディア、エンターテインメント業界のシニアリーダーにとって、非常勤理事・非執行取締役への就任や、複数の役割を務めることは、理想的なキャリアパスのひとつとなっている。
オジャーズのスポーツ・ゲーミング・メディア部門は先日、アーセナルFCの元CEO(現トッテナム・ホットスパーFCのCEO)であるヴィナイ・ヴェンカテシャム氏と、経営幹部として受賞歴もあるダイアナ・ハンター氏をゲストスピーカーに招き、スポーツ業界の外部役員(*)に転身して成功するためのポイントやアドバイスを共有する意見交換会を開催した。
(*本稿では、便宜上、非常任理事や非執行取締役などの外部役員ポジションを総称して「外部役員」とする。)
ヴェンカテシャム氏はデロイトでキャリアをスタートした後、スポーツ業界に移り、2020年から24年までアーセナルFCのCEOを務めた。英国オリンピック委員会、ワールドアスレティックス(世界陸連)、ダグアウト社、UEFA(欧州サッカー連盟)、ECA(欧州クラブ協会)の理事を務め、最近では新設されたウェンブリー・スタジアム諮問委員会の議長に任命されている。
ハンター氏は、多くの優良プライベートエクイティや上場企業でのキャリアを積んでいる。直近ではコンヴィヴィアリティ社(Conviviality PLC)を英国最大の卸売業社にすべくIPOを主導した。外部役員としての経歴は、ウルフ・アンド・バジャー社、ハウスホールド・デザイン社、英国近代五種競技協会(Pentathlon GB、理事長)、英国柔道協会などがある。
ここでは、外部役員として成功するために知っておくべき5つのポイントを紹介する。
1. 自分が情熱を持てる分野を選ぶ
外部役員に初めて就任する際は、自身の情熱と、役員会**の人間関係や文化をよく理解した上で、慎重に判断することが求められる。一緒に仕事をするのが楽しく、学びが得られると思える役員会で、本当に興味のあるポジションを選ぶのがよいだろう。
(**本稿では、便宜上、理事会または取締役会を役員会とする。)
特に強調しておきたいのは、困難な時期というのは、誰にでも必ず訪れるもので、そんなときに寄り添ってくれる仲間は欠かせない存在だということです。彼らの支えがあるからこそ困難も乗り越えられるのです。
2. 自分の強みがどう役立つか考える
職務経歴書を見直し、どのような独自の経験とスキルを役員会に提供できるのかを検討する。議長または理事長が何を求めているのか、そして自分が貢献できる領域のうち、他のメンバーと違うものは何かを考える。この違いが、あなたが参加する組織に大きな変化をもたらすはずだ。
大局的な視点で全体を俯瞰できる分野と、より深く掘り下げて確認すべき分野を見極めなければなりません。時には、何かがおかしい、あるいは違和感があると感じることがあるでしょう。また、時には、あなたの専門知識があるからこそ、詳細に踏み込み、大きな価値を提供できる場面もあります。全体を見渡す視点と、必要に応じて詳細に立ち入る判断力。このバランスを取ることこそが、優れた外部役員の真髄です。
3. デューデリジェンスを自ら実施する
役員会との相性を確認するためには、各メンバーに会い、役員会の課題を十分に理解し、議長または理事長と重要な問題について時間をかけて話し合うことが必要だろう。
組織の本質は、その一員になって初めて明らかになることが多い。したがって、ある程度の不確実性を受け入れて信じて踏み出す必要は常にあるものの、徹底した調査とデューデリジェンスが重要だ。
デューデリジェンスとバックグラウンドチェックを行い、組織内外の関係者と話し、サーチを行っている人材紹介会社と率直で誠実な会話をする。これらすべてが大事なプロセスです。
4. 求められる時間と法的責任を理解する
外部役員としての業務には、比較的落ち着いた時期もあれば多忙な時期もあり、その多忙な時期が本業の繁忙期と重なることも少なくない。また、外部役員には、法的義務といった重大な責任も伴う。
「日曜日の午後に役員会の資料を読んでいるとしたら、それは報酬のためではないはずです。組織に心から興味を持ち、その使命を真摯に捉え、変化を起こそうと熱心に取り組んでいるからでしょう。」
ヴィナイ・ヴェンカテシャム氏
役員会以外の場で経営陣と会話をすることで、より深い理解を得る手がかりとなることがよくあります。また、外部役員の業務の実態は、事前の説明と異なり、当初の想定以上の関与が求められることもあります。
5. マインドセットを変える
外部役員の役割は、経営幹部の役割とは大きく異なる。急速に学ぶ姿勢が求められる一方で、役員会の場では、事前準備を除けば、業務や現場の状況をリアルタイムで把握できる機会は限られている。
外部役員は、日常的な情報に接する立場ではなく、現場の業務とは一定の距離があります。それでも、状況によっては、一歩深く事業に踏み込んでいく必要があるのです。
「一般的に、経営チームは、外部役員に方向性を示してもらい、助けてもらうことを期待しています。大変な仕事ではありますが、その分やりがいもあります」
ダイアナ・ハンター氏
オジャーズは、長年にわたり培ってきた知見とグローバルなネットワークを活かし、スポーツ業界において世界トップクラスの非常任理事・非執行取締役候補の発掘に取り組んでいます。リーダーシップ人材のエキスパートが、成功に不可欠であるコミットメント、知見、そして情熱を持ち合わせた人材と組織をつなげています。
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