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才能だけで十分か。取締役会が経験を重視する理由

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多くの場合、経験は危機の中で鍛えられてきたものであり、最も価値ある能力のかたちである。

あらゆる決断がハイリスクな賭けとなる局面において、経営陣が求めるのは未知なる才能よりも、実績と経験に裏打ちされた判断力だ。経験は単なる強みではなく、組織における究極のリスクヘッジに値する。

世界的な不確実性、政治の不安定さ、そして規制の急激な変化が重なり、誤った一手の代償は、大胆な決断によって得られる見返りをはるかに上回る状況が生まれている。こうした環境で重視されるのが、レジリエンスだ。

本章では、連載「不確実性を乗り越えるリーダーシップ(Leading Through Uncertainty)」の一環として、オジャーズの最高執行責任者であるKate Burnsと取締役会・CFOプラクティス統括のMark Freebairnが対談し、変容するリーダーシップへの期待と、重要局面において取締役会が確信を持って変革的な意思決定を下すための手法について、議論するものである。

 

なぜ経験が勝るのか

深い不確実性の時代には、投資活動は萎縮し、意思決定は先送りされ、成長は抑えられます。このような状況では、過去にドットコムバブルや金融危機、ブレグジット、新型コロナウイルス感染症、そして戦争といった逆風に立ち向かい、成果を上げてきたリーダーが重用されます。

Markは、次のように述べている。「こうした経営者は、たとえ地図を失った状況でも何をすべきかを知っています。プレッシャーのもとで直観とは逆に思える判断を下し、不確実な状況下で投資を行ってきた経験があるからです。その判断力は代えがたい価値を持ちます。過去に発揮されたレジリエンスが、将来の安定を最もよく示す指標になるのです」

 

重圧のもとで発揮するリーダーシップの構造

優れたリーダーシップが、単独で発揮されることはほとんどない。最近の取締役会議長は、大きく2つのタイプに分かれるが、いずれも将来性よりも経験を重んじている。

  • 指揮者型:優れた人材を集め、それぞれの力を発揮させる。必要なときにのみ介入し、全体として成果を導く役割を担う。
  • 実践者型:CEOと歩調を合わせながら、取締役会を安定した手腕で導き、複雑な状況を乗り越えていく。

CFO(最高財務責任者)にとって、状況はさらにシビアだ。市場で信用収縮が起こっている時には、CFOが取締役による信用委員会といかに信頼関係を築けているか、また、過去の困難の中でいかに資金調達の専門的な知見を獲得してきたかが、会社が生き残れるか否かの決定的な分かれ道になる可能性があるからだ。

 

待つことは、変えること以上にリスクが高い

Markは続けて言う。「不確実で不安定な時代は周期的にやってきます。混迷が長期化しているのは間違いありませんが、その前には成長の時期があり、この先にも再び成長の局面が訪れます。今この瞬間に求められるスキルと、次の成長フェーズで必要となるスキルは同じではありません。取締役会は今日のための人材を登用しつつ、同時に明日に備えた体制も整えねばなりません。」

慣れ親しんだ顔ぶれでチームを組む方が、安全な選択に思えるかもしれない。しかし、必ずしもそうではない。優れたリーダーを迎えれば、即座に組織に価値をもたらすだろう。  

ためらいの代償は、変化の代償よりもはるかに大きい。

 

Markによれば、組織が不確実な環境を乗り越えるためのリーダーシップの原則は、次の5つである。

  1. 1. 実証された経験の価値を認識し、優先する。
  2. 2. 互いを補完し合うリーダーシップ・チームを築く。
  3. 3. 市場環境に応じて、採用基準を見直す。
  4. 4. 短期的な安定と長期的な成長のバランスをとる。
  5. 5. 周期的な変化を前提に備える。

 

MarkとKateの対談全編(英語)を視聴する

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